風通しの良い職場にするには？注意点・具体事例・改善アイディアをご紹介

「風通しの良い職場」という言葉は、誰しもが聞いたことのあるものです。

多くの企業では、「職場のあるべき姿」「理想的な職場のカタチ」として表現されています。

社員同士で感情や情報を社内外で積極的にやりとりできたり、従業員が「働きやすい」「ストレスが少ない」と感じることができる「風通しの良い職場」づくり。今回は、人事担当者へ向けて改善アイディアを解説します。

風通しの良い職場とは？

風通しの良い職場とは、「従業員が伸び伸びと働ける職場」ということができます。自分の気持ちを押し込めたままにならず、自分の意見や疑問、不満などを発信することができる環境が整っている状態です。

ただし、「自分の言いたいこと」をラフに言えるわけではなく、相手のことを尊重した話し方であったり「心理的安全性」が確保されている状態であることが前提となるため、一定のルールに基づいて意見を吸い上げる仕組みが必要です。

このような職場環境は、例えば活発な社内コミュニケーションや意見が言いやすい雰囲気、良好な人間関係、情報の透明性などの特徴によって実現されます。これらの特徴が整うことで、社員はお互いに相談しやすくなり、アイデアや意見の交換がスムーズに行われるようになります。結果として、従業員のエンゲージメントも高まり、生産性の向上も高まります。

• オープンなコミュニケーション
  社員同士が気軽に意見や感情を交換できるため、アイデアの創出や問題解決が促進されます。
• 多様性の尊重
  様々なバックグラウンドや意見を持つ人々がいることを受け入れ、互いに学び合う環境が整っています。
• フィードバックの文化
  上司や同僚からの建設的なフィードバックが日常的に行われることで、個人と組織の成長が実現されます。
• リーダーシップのサポート
  上司が部下の意見を尊重し、発言を促すことで、心理的安全性が高まり、社員が安心して意見を言える雰囲気が作られます。

風通しの良い職場の「チェックリスト」

コミュニケーション	[ ] 上司と部下の間で気軽に相談できる雰囲気がある [ ] 部署間の情報共有が円滑に行われている [ ] 雑談が自然に生まれる環境がある
情報の透明性	[ ] 必要な情報に簡単にアクセスできる [ ] 会社の方針や決定事項が適切に共有されている [ ] 財務状況など経営情報が従業員にも公開されている
職場環境	[ ] フリーアドレス制やオープンスペースが導入されている [ ] カフェスペースなど交流を促進する場所がある [ ] リモートワーク環境が整備されている
制度・システム	[ ] 匿名で意見を提出できるシステムがある [ ] メンター制度が導入されている [ ] ジョブローテーション制度がある
イベント・研修	[ ] 部署を超えた交流イベントが定期的に開催されている [ ] 組織論や会社の理念に関する研修が行われている [ ] チームビルディング活動が実施されている
フィードバック文化	[ ] 定期的な1on1ミーティングが実施されている [ ] 建設的なフィードバックが日常的に行われている [ ] 360度評価など多面的な評価システムがある
意思決定プロセス	[ ] 従業員の意見が意思決定に反映される仕組みがある [ ] ボトムアップの提案が奨励されている [ ] 重要な決定に関して従業員への説明が行われている
心理的安全性	[ ] 失敗を恐れずに新しいことにチャレンジできる雰囲気がある [ ] 多様な意見や異なる視点が尊重されている [ ] ハラスメント防止の取り組みが積極的に行われている
キャリア開発	[ ] 自己啓発や学習の機会が提供されている [ ] キャリアパスが明確に示されている [ ] スキルアップのための支援制度がある
働き方の柔軟性	[ ] フレックスタイム制度が導入されている [ ] 有給休暇の取得が推奨されている [ ] ワークライフバランスを重視する文化がある

風通しの良い職場の特徴

風通しの良い職場には、次のような特徴があります。

意見が活発にやりとりできること

チームとして方向性が統一されており、全員が一つのゴールに向かっていくための意見を言うことができる環境が整っています。お互いの立場に関係なく意見交換ができる柔軟性があり、「意見の否定や陰口をしない」などのルールを整えることで、誰もが安心して意見を発信することができるのです。

また、「風通しの良い職場」では、活発な社内コミュニケーションが促されるため、社員同士の信頼関係が深まり、より良好な人間関係を築くことができるようになります。これにより、社員一人一人が自分の意見を気軽に発信できるようになり、組織全体のエンゲージメントも高まるのです。さらに、透明性のある情報共有が行われることで、皆が同じ方向を向いて働くことが可能となり、業務の効率も向上します。

多くの情報がオープンに共有

風通しの良い職場は、チーム全体に基本的な情報がオープンな状態になっています。「特定の人しか知らない」「●●さんには伝えない」といったことがないため、仕事を進める上でお互いが円滑なコミュニケーションをとりながら進められます。

品質の向上だけでなく、トラブルが発生した場合にもミスを最小限に抑えることが可能です。

特に、意見交換が活発に行われることで、社員は互いの視点を理解し合うことができ、問題解決のための創造的なアイデアが生まれやすくなります。このような環境では、社員のエンゲージメントが高まり、結果として組織全体のパフォーマンスも向上します。また、上司と部下の関係がフラットであるため、意見を言いやすく、心理的安全性が確保された状態が維持されます。こうした要素が相まって、風通しの良い職場は持続可能な成長を促進するのです。

細かくルールを決めなくてもトラブルが起こらない

職場の風通しが良くなると、細かいルールを決めなくても大きなトラブルが起きません。基本的に共通認識が出来上がっていること、お互いが「トラブルを起こさない」意識を持っていることなどから、多くの企業で起こりやすい「人間関係のトラブル」を未然に防ぐことができるのです。

さらに、社内間の活発なコミュニケーションが奨励されることで、社員は意見や感情を率直に表現しやすくなり、心理的安全性が高まります。このような環境では、悩みや問題を気軽に相談できるため、ストレスの軽減にも繋がります。また、上司と部下の壁が低くなることで、意見交換が活発に行われ、お互いの信頼関係が深まります。この結果、業務効率も向上し、社員のエンゲージメントが高まるのです。

社員が安心できる制度が用意されている

風通しの良い職場を実現するためには、社員が安心できる制度の整備が不可欠です。具体的には、メンタルヘルス支援や柔軟な働き方の導入が挙げられます。これにより、社員は自分の状態を気にせず、安心して業務に集中することができ、組織全体のエンゲージメントも高まります。

率直な意見交換が可能な雰囲気がある

率直な意見交換が可能な雰囲気とは、社員が自分の意見やアイデアを自由に表現できる環境を指します。このような雰囲気がある職場では、意見の衝突を恐れることなく、建設的なコミュニケーションが促進されます。これにより、社員は安心して率直な対話を楽しむことができ、結果として職場のエンゲージメントが高まります。

社員からの改善提案が多く、実行度も高い

風通しの良い職場では、社員からの改善提案が活発に行われ、その提案が具体的に実行されることが多いです。このような環境では、社員一人ひとりが自らの意見を尊重されていると感じ、主体的に職場の改善に貢献する姿勢が育まれます。結果として、組織全体の生産性向上にもつながります。

風通しの良い職場のメリット・デメリット

ここからは、「風通しの良い職場」を作るメリット・デメリットを解説します。「デメリットはあるの？」と思われるかもしれませんが、働き方の変化や従業員の多様性が広がったことによって、デメリットも生まれています。

例えば、意見交換が活発になる一方で、コミュニケーションが苦手な人にとっては、職場の雰囲気が圧迫されることがあります。このような環境では、内気な社員が遠慮して意見を言えなくなり、精神的なストレスを感じる要因となることもあります。また、全員が自由に意見を言えることが強調されるあまり、時に緊張感が失われることがあり、業務の効率性が低下する場合もあります。

メリットとデメリットの両面を理解しておくことで、より良い「風通しの良い職場」を作ることができます。

メリット

風通しの良い職場を実現することには、多くのメリットがあります。例えば、離職率の低下やコンプライアンス遵守の向上、トラブル対応の迅速化が挙げられます。これらのメリットは、社員のエンゲージメントを高めることにもつながり、組織全体の生産性向上を促進します。

離職率の低下

従業員が退職してしまう理由の大きなものに「人間関係のトラブル」があります。トラブルには様々な要因がありますが、疎外感を感じたりコミュニケーションが取れていないと感じてしまうと、仕事のモチベーションが低下したり責任感を持って仕事をすることができなくなってしまうのです。

そのため、風通しの良い職場環境を作ることで、離職率を大きく下げることができます。

社内での意見交換や情報共有を促進することで、社員間の信頼関係を築き、コミュニケーションの質を向上させることが重要です。部署を超えた交流を促すイベントや施策を実施することで、社員同士が互いに理解を深める機会を設けることも効果的です。心理的安全性を高めることで、社員は安心して意見を発信し、自己表現できるようになり、結果として職場の雰囲気も整っていきます。

コンプライアンス遵守につながる

風通しの良い職場で働くことで、自分のやっている仕事に対する意識が高まります。誰もがトラブルを起こさない、職場に不利益を起こさないような意識を持っているため、自分だけでなく他のスタッフにも助言やアドバイスできることにも繋がります。

現在は、些細なきっかけで重大なトラブルを起こしかねません。従業員のSNSの投稿やコメントを見て、「これはダメだよ」「気をつけたほうがいい」といった一言も言い合えるような関係が生まれるのです。

このようなオープンなコミュニケーションがあることで、社員同士の信頼関係が深まり、仕事を進める上での心理的安全性が高まります。結果として、社内の雰囲気も明るくなり、エンゲージメントが向上することで、より良い成果を上げることができるでしょう。また、意見や情報の交換が活発になり、改善提案が多く寄せられることも特徴です。これは、風通しの良い職場づくりにおける重要な要素となります。

トラブル対応が早くなる

風通しが良い職場は、全員が必要な情報を共有できています。何かトラブルが起こった時の対処スピードが早くなるため、被害を最小限に抑えることができます。

また、トラブルを逆手にとって信用を得ることができる可能性もあります。このような環境では、透明性があるため、問題が発生しても隠さずに解決に向けた取り組みを行うことで、全体の信頼感が高まります。社員は、自分たちの意見や情報が尊重されると感じるため、より積極的に意見交換を行うようになります。この結果、チーム全体の結束も強まり、職場の雰囲気も向上します。

デメリット

風通しの良い職場には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。特に、コミュニケーションが苦手な人にとっては、活発な意見交換がストレスとなる場合があります。また、自由な雰囲気が強調されすぎると、職場の緊張感が失われる可能性もあり、仕事に対する集中力が低下する恐れがあります。さらに、社員同士の気配りや配慮が求められる場面では、精神的な疲れを感じることもあるため、これらの点に注意が必要です。

コミュニケーションが苦手な人には苦痛

風通しの良い職場を作るにあたり、全員が円滑なコミュニケーションを取れるわけではないことを理解しておく必要があります。

「コミュニケーションを取らなければならない」ことがプレッシャーになったり苦痛になってしまい、職場に通うことが嫌になってしまうケースもあるため、社員それぞれに合ったツールを用意するなどしましょう。

このような配慮は、特に内向的な社員や、コミュニケーションに自信がない社員にとって大きな助けとなります。また、フリーアドレスや1on1ミーティングの導入など、オープンな交流を促進する施策を取り入れることで、異なるコミュニケーションスタイルに対応する環境を整えることができます。これにより、全員が自分のペースで意見を表明しやすくなり、結果として職場全体の雰囲気をより良くすることが可能になります。

緊張感が無くなる

コミュニケーションが円滑になると、緊張感が無くなってしまうことがあります。良い意味で緊張感がなくなるなら良いのですが、相手へのリスペクトもなくなる可能性があるため注意が必要です。

あくまでも相手への尊重を忘れないことが、風通しの良い職場を作るためのコミュニケーションなのです。

例えば、オープンな意見交換を行う際には、発言の内容だけでなく、その表現方法にも配慮することが重要です。率直な意見を述べることは必要ですが、相手の感情や立場を考慮しなければ、対話が摩擦を生む原因になりかねません。

こうした配慮がなされることで、意見が活発にやりとりできる雰囲気が生まれ、職場全体のエンゲージメントが高まります。結果として、風通しの良い職場の実現に近づくことができるのです。

気遣いや配慮で疲れてしまう

「良い雰囲気を作ろう」と思うばかりに気を使い過ぎてしまい、本末転倒になってしまうこともあります。「風通しの良い職場を作ること」が目的になってしまうことがないように注意しましょう。

また、コミュニケーションが過剰になると、社員が自分の意見を表現することにためらいを感じる場合もあります。職場の雰囲気を良くするためには、社員全員が自分の意見を自由に発言できる環境を整えるとともに、その際にはお互いの意見を尊重する姿勢が求められます。このように、意識することが有効である一方で、無理にコミュニケーションを活発にしようとするあまり、逆にコミュニケーションが苦痛なものであってはいけません。温かい雰囲気の中でも、適度な距離感と気遣いが求められることを忘れないようにしましょう。

風通しの良い職場にするためにできること

これから「風通しの良い職場を作りたい」と思うけれど、何から始めたら良いかわからないという方に、改善施策をご紹介します。低コストで取り入れやすいものもあるため、ぜひ取り組んでみてください。

積極的な挨拶	どの時代でも「あいさつ」は大切です。お互いが挨拶をやりとりするだけで全体が元気になってきて、風通しがよくなります。
社内イベントの実施	お互いの知らない一面を知ったり、チームビルディングにも役立つのが社内イベントです。
休憩スペースの設置	誰もが好きな時に利用できるスペースを設置することも大切です。コーヒータイムや雑談などの時間を共有することも、チームの風通しをよくする一つの手段となります。
フリーアドレス化	固定席をなくして、オフィス内の好きなところで働けるように環境を整えます。新人と管理職が同じデスクで働くことも珍しくなくなります。
コミュニケーションツールの導入	最近では、様々なコミュニケーションツールが発展しています。会話が苦手な人でもチャットであればコミュニケーションできる人もいるため、複数のツールを導入しましょう。
オフィスBGMを流す	オフィスにBGMを流すのも有効な手段です。有線やラジオなど、社員からのリクエストなどに答えながら空間づくりをするのも良いでしょう。
サンクスメッセージを送り合う	相手への感謝などをメッセージカードによって送り合うものです。相手の良いところを探すようになり、チーム全体の空気が前向きになります。
ジョブローテーション	社内留学制度などを作ることで、「新しい人を受け入れる」ことに慣れることができます。誰がどのタイミングで入っても受け入れられるチームこそ、本当の意味で「風通しの良い」職場ができていると言えます。
ローカルルールを無くす	組織では、自然と「暗黙の了解」が生まれがちです。そういったローカルルールは風通しが悪くなる原因となりますので、無くすようにしましょう。
メンター制度を作る	困った時に相談できる相手を作れるような仕組みを作っておくと良いでしょう。
トラブル発見の仕組みづくり	アンケートや面談などを通じて、常にトラブルや不安・疑問などを解消できる仕組み作りは風通しの良い職場づくりに重要です。
挑戦を積極的に応援する	新しいことに挑戦することは、企業にとって大きな前進になったり利益を産むきっかけになります。失敗を恐れない、周りがフォローできる空気を作りましょう。
社内派閥を作らない	昔の企業にあったような「派閥」は、風通しが悪い状態の最たるものと言えます。派閥を作る必要がないような環境が重要です。
社員同士のコミュニケーションに補助を出す	福利厚生の一環として、社員同士のコミュニケーション（部活動や親睦会など）に会社として補助を出すことも有効です。
社長室の撤廃	最近増えてきているのが、「社長室の撤廃」です。社員全員が同じフロアで働くことで現場から声を伝えやすくなり、現場の様子を実際に知ることができるようになります。

風通しの良い職場を目指す具体的なステップ

また、これらのステップを実行する際は、以下の点に注意することが重要です。

• 組織としての規律を維持するためにも、フラットな関係性を重視しつつも、「メリハリ」を保つこと
• 全員が同じコミュニケーションスタイルを好むわけではないため、個人の特性に理解し、配慮すること
• 意見を言いやすい環境を作りつつ、建設的なフィードバックを促進し、心理的安全性を確保すること

これらの注意点を踏まえながら、段階的に風通しの良い職場づくりを進めていくことが効果的です。時間はどうしてもかかってしまいますが、少しずつ積み重ねていくことで「風通しの良い職場」を作っていくことができます。

ガイアシステムでは、チームビルディングのための研修やコミュニケーションを深める研修を数多く提供しています。コンサルタントが準備からアフターフォローまでをしっかりサポートしますので、お気軽にご相談ください。

取り組み事例｜風通しの良い職場づくり実践アイディア

風通しの良い職場づくりの実践アイディアとして、実際に企業が取り組んでいる事例を紹介します。

ヤフー: 1on1ミーティングの導入

ヤフーでは、従業員のコミュニケーションを向上させるために「1on1ミーティング」を導入しています。
社員同士が定期的に対話する機会を設けることで、意見交換やフィードバックの場を増やし、業務の透明性を高めていることが特長です。
これにより、従業員は自分の意見を気軽に表明しやすくなり、風通しの良い職場環境が実現されています。

日本マイクロソフト: フリーアドレス制度の導入

日本マイクロソフトでは、フリーアドレス制度を導入することで、社員の柔軟な働き方を促進しています。
多様なコミュニケーションが生まれ、異なる部署間での交流が活発化することが期待されています。
オープンな職場環境を実現し、風通しの良い職場づくりに貢献しています。

サイバーエージェント: 社員交流促進制度の実施

サイバーエージェントでは、社員同士の交流を促進する制度を実施しています。
この取り組みは、異なる部署間のコミュニケーションを活発にし、職場の風通しを良くすることを目指しています。
社員が気軽に交流できる場を設けることで、情報共有や新しいアイデアの創出を支援しています。

まとめ

ガイアシステムでは、チームビルディングのための研修やコミュニケーションを深める研修を数多く提供しています。コンサルタントが準備からアフターフォローまでをしっかりサポートしますので、お気軽にご相談ください。