OJT研修で「先輩トレーナー」の育成を成功させるポイントとは?

新入社員を育成するには、OJT研修(On-the-Job Training)が効果的です。
実際にOJTを新人研修に取り入れ、成果を出している企業は数多く存在します。
半面、「OJT教育がうまくいかない」「トレーナーの育成方法を知りたい」
といったお悩みをお持ちの経営者や企業担当者の方も少なくないのではないでしょうか。

 

本記事ではOJT研修の要となる「OJTトレーナー育成方法」成功のポイントをご紹介します。

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OJT研修とは

OJT研修とは、業務を通じて、新入社員や中途社員の入社時や、他部署へ配属された時に、上司や先輩社員が教育担当として、新人や未経験者に対して業務を通じて知識や技術を教える育成方法のことです。

トレーナー トレーニー

指導する側を「トレーナー」
指導される側を「トレーニー」
と言います。

新人育成に広く活用されている教育方法であり、新人教育にはOJTが効果的だと言われています。

※OJTとは「On-the-Job Training」(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称です。

OJT研修が新人教育に効果的な理由

以下の3つが挙げられます。

  1. 実務に直結する人材教育や研修ができる
  2. トレーナーにも指導力が身に付き成長につながる
  3. 新入社員の早期退職の防止になる

実務に直結する人材教育や研修ができる

OJTには、トレーナーがトレーニーの前で実際に業務を行っているところを見せたり
一緒にやってみたりして、実務経験に即したスキルや就業態度を習得させやすい教育研修手法
だという特徴があります。

OJTに対してOFF-JTという教育研修手法があります。
OFF-JTは「Off The Job Training」(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称であり、
研修センターなど一時的に職場以外の場所で、外部講師による企業内集合研修や
セミナーなどを受講するのが代表的な形です。

業務に必要な知識や理論を体系的かつ効率的に学び、
ビジネスパーソンとして必要な知識やスキルの習得を目的としています。
そのため、OFF-JTはOJTに比べ即効性や迅速性には直結しません。

OJTが優れているのは、経験や勘に頼った言語化が難しい主観的な知識や、
習熟に時間を要するものなど、実践を交えないと理解習得できないスキルを
学習するのに適している点です。

厚生労働省の調査によると、OJTを導入する企業は70%を超えており、
その効果が高く評価されていることがわかります。

このようにOJTは多くの企業に取り入れられていますが、もともとOJTは戦時中のアメリカで
膨大な数の軍人を効率よく育成するために開発された「4段階職業法」がベースとなったものです。

【参考】『厚生労働省』平成30年度能力開発基本調査(図10)

https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/000496285.pdf

「4段階職業指導法」とは

「4段階職業指導法」とは、以下の4つのステップを踏むことによって仕事に必要な知識やスキル、就業態度などを修得させ、業務処理能力や力量を高める指導法です。

4段階職業指導法 OJT
  1. Show:作業をして見せる
  2. Tell:作業内容を説明する
  3. Do:実際に仕事をやらせてみる
  4. Check:フォローする

「4段階職業指導法」は人材育成の所要時間を減らし、複数のトレーニーの習得のバラつきを解消して効率的に実務に即した教育研修ができるという効果があります。

トレーナーにも指導力が身に付き成長につながる

OJTを行うトレーナーにとっては、最初は手探り状態かもしれません。
しかし、指導回数を重ねていくうちにどうすればより良いトレーニングができるかが分かってきます。

トレーニングを通じてトレーナー自身の指導スキルや問題解決のスキルを
向上させることができるのもOJTの特徴です。

トレーナーがOJTを通して身に付けられるスキルや経験には以下のようなものがあります。

  • 教育スキル
  • リーダーシップ
  • チームに対する視野の拡大

トレーナーがOJTを通じて体得した指導方法は、将来的に管理職の立場になった時にも役立つものです。
そのため、これらのスキルや経験は管理職へのステップアップに必要だと言えるでしょう。OJTはトレーナーのスキルや経験値の向上に加え、キャリアアップにも大きく影響するのです。

新入社員の早期退職の防止になる

新入社員の早期退職の原因のひとつとして、職場内で良好な信頼関係が築けないことが挙げられます。
そのため、新入社員が働きやすく、居心地の良い環境を作ることができるか否かが定着率に影響するのです。

OJTは社内のコミュニケーションを活発化し、信頼関係の構築ができる点で優れています。

OJTではトレーナーとトレーニーが発問と回答のやりとりを頻繁に行います。
やりとりを通してトレーナーとトレーニーの間に協調性や信頼関係が生まれ、
良好な人間関係を築くことができるのです。

 

OJTにおいてトレーナーが意識しておくべき重要なポイントは、トレーナーとトレーニーが信頼関係を築くことです。
その信頼関係がトレーニーの早期退職を防ぐひとつの要因になり得るからです。そして、その信頼関係はOJTを終えてからも続き、仕事に対するモチベーションにもつながります。

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OJTトレーナーの育成を成功させるポイント

OJT研修を成功させる要であるトレーナー育成には、「トレーナーの人選」や「組織としてのサポート体制」が重要です。

トレーナーの人選

OJTトレーナーに求められる要素はいくつかありますが、特にトレーニーの成長可能性を信じて共に成長していこうという価値観を持っている人材かどうかは大切です。

業績面がいくら優秀な社員でも、自分の価値観や仕事観を押し付けて相手を委縮させてしまうような人は
OJTトレーナーにふさわしくありません。
このような人材をOJTトレーナーに選んでしまうと、トレーニーの良さを潰してしまうなど、
良質な教育を行うことは難しくなるでしょう。

組織としてのサポート体制

また、OJTトレーナーに対して組織によるサポート体制を構築することも成功要因として欠かせません。
トレーナーは通常業務に加えて新人教育を行うほか、
OJTに関するスケジュール管理や報告など何役もこなす必要があります。
そのため、トレーナーの物理的・心理的な負担を軽くするために組織全体でサポートすることが
OJT成功のために重要だと言えるでしょう。

【参考】松尾睦(北海道大学)「育て上手のマネジャーの指導方法――若手社員の問題行動とOJT

トレーナーの心得と資質

トレーナーにとって必要な資質や心得は以下の4点です。

  1. 信頼関係を構築できる
  2. フィードバックを適切に行える
  3. ティーチングとコーチングスキルを使い分けられる
  4. 中長期のゴールを伝えられる
 

4つの資質や心得は、OJTトレーナーになりたてのときに参考になるだけでなく、経験を積んでからも改めて再認識すると、よりOJTの質を上げるために役立ちます。

信頼関係を構築できる

OJTがうまくいくためには、トレーナーとトレーニーの信頼関係の構築は最も重要なポイントです。

新人が業務を遂行できるように具体的な指導をすることはもちろん大切ですが、
まずは仕事のやりがいを実感してもらうためにもトレーナーとトレーニー間の信頼構築は欠かせません。

もしトレーナーとトレーニー間の信頼関係が十分に築けていないと、
トレーニーはトレーナーの話を傾聴する気持ちが薄れ、OJTが円滑に進みません。

最悪の場合、トレーニーが失望し、早期退職してしまうことにもつながりかねないのです。

 

OJTを実施する際には、第一に信頼関係を上手に構築できる社員をトレーナーとして選出することが大切だと言えるでしょう。

フィードバックを適切に行える

OJTにおいては、トレーニーに適切なフィードバックを行うことが重要です。

フィードバックはトレーニーにとって何ができて何ができないのか、
課題点を明確にして次のステップに進むために欠かせません。

適切なフィードバックを行うことには、トレーニーの成長を促進させる効果が期待できます。

フィードバックは4段階職業指導法における4つのステップのうち「check」に当たりますが、
非常に重要であるにもかかわらず、意外と軽視されがちです。

トレーナーの手が回らないこともひとつの要因として考えられます。

しかし、フィードバックはOJTの効果を検証し、トレーニーの成長を確認するために欠かせないステップです。
ですから、フィードバックを適切に行えるかどうかはトレーナーの資質において非常に重要だと言えるでしょう。

トレーナーが適切にフィードバックを行うためには「できなかったところ」だけを取り上げて
トレーニーに伝えるだけでは不十分です。

フィードバックはトレーニーの成長のために行うものですから
「どのようにすれば次回以降うまくできるようになるか」という答えを見つけ出し、
課題を共有する意識を持つことが大切だと言えます。

課題点と同時に「良かったところ」「トレーニーの長所」などのプラスポイントを褒め、
次の仕事に活かせることを指摘すれば、トレーニーのモチベーションアップにつながります。

ティーチングとコーチングスキルを使い分けられる

OJTにおける教育研修手法には「ティーチング」と「コーチング」があります。

「ティーチング」とは持っている知識やスキルを相手に伝えることです。
一方「コーチング」は発問や会話によって相手に深い思考をさせ、新しい気づきを得る手助けを行うことです。

ただし、ティーチングだけでは下記のような問題が発生する可能性があるので注意が必要です。

  • 新しい問題に直面した時に応用が利かない
  • 作業者になってしまい会社が求める人材から離れてしまう恐れがある

ティーチングだけだとトレーナーが一方的に教えるだけになってしまい、
トレーニーが受け身の姿勢になってしまうことがあります。

一方的に教わっただけの知識やスキルだけでは、新しい問題が発生したときに応用できず、
臨機応変に対応できません。

また、教えてもらえることに甘えが出て能動的に考えないようになってしまい、
言われたことしかできない作業者になってしまう危険性があります。

ティーチングだけだと不十分な部分を補完するのがコーチングです。
知識やスキルを伝えるティーチングはもちろん必要ですが、
トレーニー自身が自分の頭で考えて課題解決に向かい、自立するためには
コーチングを適宜取り入れていくことによってさらにOJTが効果的なものになるでしょう。

 

ティーチングとコーチングはどちらもOJTには欠かせない要素であり、双方を状況に合わせてうまく使い分けられることがOJTを成功させるためには重要だと言えます。

中長期のゴールを伝えられる

OJTにおいては、目標を設定し、トレーニーに伝えたうえで進めていくことが大切です。

短期的な目標を設定してスモールステップを踏むことも大切ですが、トレーニーが成長し、
自立するためには中長期の目標設定を行うことも必要となります。

たとえば新入社員の場合、3~5年の中長期目標をいくつか設定し
「仕事上で独り立ちする」ことを目標とする、などです。

もし目標、つまりOJTの中長期的ゴールを示さないままだと、
いくら教育研修を行ったとしても業務内容に対するトレーニーの理解は浅いままになってしまうでしょう。

そうすると、会社が期待する人材像が不明確であるだけでなく
仕事内容の具体的なイメージがつかめないため、トレーニーの成長意欲に弊害が出てしまいかねません。

こうした弊害を避けるためにも「〇か月後までに〇〇をできるようにしよう」
「将来的には〇〇ができるように目指していこう」など、適宜目標設定を行い、

ゴールを明確にすることを意識してトレーナーとトレーニーがしっかりコミュニケーションをとり、
連携していくこと
が必要です。

組織体制の構築|トレーナーを組織でフォローする

OJTトレーナー自身も完璧ではなく、いまだ成長途中です。
もし全てをトレーナー任せにしてしまうと、トレーナーの負担が大きくなり過ぎて、
結果的にOJTの質が下がってしまうリスクがあります。

こうした事態を避け、OJTの質を上げるためにも組織がトレーナーに対してフォローする体制を
構築することは欠かせません。

たとえば、適宜トレーナーの上長が面談するなどして、OJT上の問題点はないか確認したり、
アドバイスを行ったりするなど、組織内でコミュニケーションを図ることが重要です。

トレーナーが相談しやすい空気を作ることがOJTを成功に導くカギとなります。

OJTの進捗管理をチーム内で共有する

状況把握のためにOJTの進捗をチーム内で共有すること
トレーナーに対するフォロー体制として有効です。

OJTの進捗管理をトレーナーとチーム双方が情報として共有することで、
OJT途上における異変や悩みに気づきやすい環境がつくれます。

トレーナーもトレーニーもチームの一員ですから、
チーム内で状況を共有しながら新しいチームをつくっていくことは重要です。

もし進捗が思うようにいっていない場合はトレーナー・トレーニーのどちらか、
あるいは双方が課題にぶつかって解決に苦しんでいる可能性があります。

そういった事態を打開するために、OJTの進捗管理をチーム内で共有し、
面談をするなどして対処する体制をつくっておくこともチームとして必要でしょう。

チーム全体がトレーナーとトレーニーの状況を把握しておき、配慮することが求められます。

また、トレーニーがOJT中にアイスブレイクするなど成果をあげた際には、
チーム全体で祝うなどして、トレーナー・トレーニー双方のモチベーションを上げる雰囲気を
醸成することもチームの体制として有効
です。

OJT教育がうまくいかないときの原因

OJTがうまくいかない原因としては以下のような点が挙げられます。

  1. 経験の浅い社員がトレーナーの役割を務めている
  2. トレーニーの特性や強みを無視した研修になっている

経験の浅い社員がトレーナーの役割を務めている

経験が浅い社員がトレーナーになった場合、
4段階職業指導法で言えば「tell」や「check」がうまくできず、
トレーニーに対して業務の目的や意味を正確に伝えられていないケースもあり得るでしょう。

業務の目的や意味を伝える「tell」のステップでは、ただ伝えるだけではなく質問も受け付け、
トレーニーがより理解を深められるようにすることが必要です。

また、「check」のステップでは、「tell」で伝えきれなかった補足事項も付け加えます。
そのため、これらのステップがうまくいかないとOJTの中心部分が欠けてしまうことになりかねません。

OJTがうまくいくためにはトレーナーの経験値も重要なポイントです。
ただし、どのトレーナーであっても初めてのケースは当然あるので、
経験が浅いトレーナーをフォローする体制を組織でつくっておくことが求められるでしょう。

トレーニーの特性や強みを無視した研修になっている

OJTはトレーニーが課題に向き合い、解決方法を探りながら業務に慣れていくことが求められます。
もちろん最初は未熟な面が目立つかもしれませんが、
キラリと光る特性や強みを無視してしまってはOJTの効果は十分なものにならないでしょう。

トレーニーの特性や強みを無視して一方的に進めてしまうと、
トレーニーが「この会社で自分は何をしていけばよいのか」という成長ビジョンを見出せなくなりかねません。

会社が型通りのOJTプログラムを用意してその枠にトレーニーをはめるだけでは、
トレーニーの特性や強みを発見できず、せっかくのOJTが実務に活かされなくなってしまう可能性があります。

OJTにおいてトレーナーが心がけるべきなのは、
レーニーが深く知りたそうにしている分野があれば時間をかけるなど
メリハリをつけ、トレーニーが将来的にその分野のプロフェッショナルとして活躍できるような
素地を引き出してあげること
です。

そのためにもトレーニーの特性や強みを発見し、指摘することは重要だと言えます。

社外講師によるトレーナー養成プログラムの活用も有効的

トレーナーに必要な思考法の取得のために、外部の社外講師による育成研修プログラムの受講も効果的です。
弊社もOJTトレーナー育成に関する研修プログラムをご用意しています。

  • OJTで新人を教育させたいが、うまくいっていない
  • OJTにおけるトレーナーをどのように育成すると良いか知りたい

このような社内のOJT教育体制にお悩みの経営者や教育担当者などの管理職の方は、
ぜひお気軽にお問合せください。
OJTトレーナー育成研修についてはこちらで詳しくご覧いただけます。

まとめ

OJTは実務を通じて業務の知識やスキルを身につけられる教育研修方法です。
OJTが成功することにより、トレーニーとトレーナーの双方が成長できます。

しかし、適性のあるトレーナーの選抜やチームのフォロー体制がされていないと、
せっかく意欲的な新入社員が入社してきても最悪の場合早期退職につながりかねません。

そのような事態にならないためにも、OJTを行う際はトレーナー任せではなく、
組織が一丸となって成功に導く意識が大切です。


豊富な研修プログラムをご用意しております。
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