メンター研修とは?研修の目的や成功のポイントを分かりやすく解説!

新入社員の早期離職や人材育成の停滞に悩む企業が増える中、注目されているのが「メンター制度」。
しかし、いざ導入しようとしても「メンター役をどう育てればいいのか」「制度を定着させるには何が必要か」と迷う企業も少なくありません。
本コラムでは、メンター研修の目的や必要性、研修内容で習得すべきスキル、さらに成功に導くためのポイントを分かりやすく解説します。
メンター研修とは

メンター研修は、メンター制度を導入するための「メンター」を育成する研修です。メンター制度の導入をお考えの方の中には、「メンターをどのように育てたら良いのか」「メンターの確保が難しい」といったお悩みがあるのではないでしょうか。
メンター研修の目的や役割、研修の内容などを把握し、安心して導入できるよう研修からしっかりと準備しておきましょう。
そもそもメンター制度とは
メンター制度とは、経験豊富な先輩社員がメンターとして、後輩社員であるメンティに対して、業務上の指導はもちろん、キャリア形成や精神的な悩みに関する相談に乗り、個人の成長を支援する制度です。
直属の上司とは異なる、他部署の先輩社員が担当することが多く、メンティが利害関係なく安心して相談できる環境を作ることを目的としています。
OJTとの違い
メンター制度と混同されがちなのが、OJTです。OJTは、「On The Jobトレーニング」の略称であり、基本的には同じ部署の先輩と後輩がペアになって様々な業務を学びます。OJTの目的は、一日でも早く業務に慣れて戦力として活躍できるようになることであるのに対して、メンター制度はメンタル面のサポートが中心となります。
そのため、OJTを担当する人が同じ人のメンターを担当することは避けるようが良いでしょう。
またOJTの研修についてもポイントについて知りたい方はこちらを参考ください。
なぜメンター研修が必要とされるのか?
多くの企業がメンター研修に力を入れる背景には、現代のビジネス環境における深刻な課題が存在します。ここでは、メンター研修が必要とされる主な理由を3つご紹介します。
新入社員・若手社員の早期離職を防ぐ
現代の若手社員は、キャリアに対する価値観が多様化しており、働きがいや自己成長を重視する傾向にあります。
「何かあったら相談できる相手がいる」という安心感は、職場への定着を促す上で重要です。
メンターという頼れる存在がいることで、新入社員は孤独感を抱えることなく、スムーズに組織に馴染むことができます。
メンター役の社員のスキルを標準化する
メンター制度を導入しても、「メンターによって言うことが違う」「相談しにくい雰囲気がある」といった問題が生じることがあります。これは、メンター個人の資質や経験に依存してしまっていることが原因です。
メンター研修を実施することで、メンタリングに必要な基本スキルや心構えを全員が共有し、指導の質を一定以上に保つことができます。
組織全体のコミュニケーションを活性化させる
メンター制度では、通常、他部署の先輩社員がメンターとなります。
これにより、部署の垣根を越えたナナメの関係が構築され、組織内の風通しが良くなります。
メンターやメンティを通じて部署間の連携が生まれやすくなり、組織全体のコミュニケーション活性化に繋がります。
組織のコミュニケーションを活性化させる方法について学ぶことも重要です。
詳しくはこちらを参考にしてください。
メンター研修の目的
メンター研修は、主に次のような目標で行われます。
・メンター担当者の育成およびスキルアップ
・他部署間の連携強化、人脈構築
・管理職の負担軽減
・採用力強化
これ以外にも目標として設定できることはありますが、基本的にはこのような内容となっています。それぞれの目的を把握しておきましょう。
担当者の育成およびスキルアップ
メンター研修の一番の目的は、担当者の育成およびスキルアップです。メンターを担う社員は、メンティを支えるために様々なスキルを身につけておく必要があります。メンター研修では、「自社が望む人材」を理解しておくことは当然ですが、メンティの話を聞くスキルやコーチング、ハラスメントに関する知識などを深く学びます。
またメンター研修では、一度学んだことは深め、自分に足りないところを積極的に補うためのフォローアップも必要になるため、複数年に渡って研修を行うこともあります。
他部署間の連携強化・人脈構築
メンター制度は、基本的に他部署の先輩社員と後輩社員がペアになります。そのため、メンターは他部署との連携や人脈をしっかり構築しておくことが欠かせません。メンティにとって「何でもできる相談相手」になるためにも、日々の仕事の様子や何に苦手意識を持っているかなど、本人だけでなく周囲からの視点も踏まえてアドバイスができると、より深い関係性を築くことにつながります。
管理職の負担軽減
これまで、メンター制度が無い時代には管理職がそれぞれの社員のメンターを担っていました。しかし、本来の職務に加えて社員それぞれのメンタリングを行うことは容易ではなく、管理職の負担はとても大きいものがありました。
また、時代の変化によって若者に対する理解の難しさもあることから、管理職にとってメンターという役割が苦痛になってしまうケースは珍しくありません。そこで、新入社員など若手と年齢が近い従業員をメンターにすることで、メンティの相手に相談するハードルを下げるだけでなく、管理職の負担軽減になります。
採用力強化
新入社員が会社を選ぶ際に、「研修制度が整っているか」「安心して相談できる相手がいるかどうか」は大きなポイントになります。そのため、会社の研修制度としてメンター制度を導入しているところは増えており、企業規模によっては当たり前の状態にもなっているのです。何か問題や課題に直面した時、不安な気持ちを伝える相手がいるかどうかは、就職後も安心して働けるかどうかに直結するため、採用力強化につながると言えます。
メンター研修の内容・習得すべきスキル

メンター研修は、どのような内容で行われるのでしょうか。多くの場合、研修カリキュラムにはメンターとして身につけておきたい基本的な内容を押さえつつ、「自社に特に必要な内容」を盛り込みます。メンターが身につけるべきスキルについてみていきましょう。
「育ってほしい人材像」の理解
まずは、自社が望む「育ってほしい人材像」を理解することが必要です。メンターは、基本的に相談役でありロールモデルとなるものです。業務に関係しない他部署の先輩が担当するとはいえ、組織全体として「このような人材に育ってほしい」という思いや方向性は統一しておく必要があります。
そのため、メンターは基本として自社が育ってほしいと思う人材、必要とする人材を理解した上で、メンティへのサポートを行う必要があります。
傾聴力
メンターにとって必要なスキルの一つに、傾聴力があります。人は、どうしても自分から話したくなるものです。しかし、メンターに必要なのはメンティの話をきくことであり、人の話を聞くということには、それなりのスキルが必要になります。
傾聴力は、人の話を聞くことに特化したスキルです。メンターは、このスキルを必ず身につけておく必要があります。

コーチング
コーチングは、基本的に実務に関するテーマで行われることが多いものです。メンターと似ている部分はありますが、実は全く違います。人を育てる上で知っておきたい知識や感覚などを学ぶこともできます。
なお、コーチングスキルを身につける目的は、「1on1」でのコミュニケーションや決められた時間で適切なアドバイスを送るためです。
また、コーチングスキルを現場で活かす方法について知りたい方はこちらを参考にしてください。

メンタルヘルス
メンター制度では、メンティのメンタル面のサポートを行うことが中心となります。メンタルヘルスに関する知識や手法はある程度覚えておき、自分が担当するメンティに合わせて柔軟に対応できるようにしておきましょう。
メンタルヘルスの重要性について詳しく学ぶことは今後の研修においても重要です、詳しくはこちらを参考にしてください。

ハラスメントに関する知識
近年、様々なハラスメントが誕生し、問題になっています。メンター制度においてパワハラやモラハラが発生することはあってはならないことですが、ハラスメントを気にするあまり、メンターが萎縮してしまったり本来のスキルを発揮できなければ、それはそれで問題です。
そこで、メンター研修では「ハラスメント」に関する知識を学び、身につけます。時に優しく包み込む存在でありながらも、毅然としたアドバイスをしなければならない時には、ハラスメントなどを心配せずきっちりアドバイスできるようなスキルは、メンターに欠かせません。

倫理観
メンターは、社会人として、一企業の従業員としての倫理観を身につけておく必要があります。
メンティに対するアドバイスの内容は、メンターの倫理観によって左右されてしまう可能性があり、そのアドバイスやコミュニケーションはメンティのキャリアに影響を与えることも考えられます。
ガイアシステムでは、これまでにOJT研修を中心としてメンター研修でも活用できる内容のカリキュラムを数多く提供してまいりました。
豊富な研修や企業様のサポート実績がございますので、まずはお気軽にご相談ください。
メンター研修を成功に導く3つのポイント
メンター研修を単なる一過性のイベントで終わらせず、組織に根付かせるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
全社的な理解と協力体制の構築
メンター制度は、メンターとメンティだけで成り立つものではありません。メンターが活動時間を確保できるよう、メンターの上司や同僚の理解と協力が不可欠です。 研修の実施にあたっては、制度の目的や重要性を全社に周知し、協力的な雰囲気を作ることが成功の鍵となります。
適切なメンターとメンティのマッチング
メンターとメンティの相性は、制度の効果を大きく左右します。 年齢や社歴が近いだけでなく、性格や価値観、キャリアの方向性なども考慮して、最適な組み合わせを慎重に検討することが重要です。事前に面談を行い、双方の希望を聞くことも有効です。
定期的な振り返りとフォローアップの実施
制度を導入して終わりではなく、定期的に振り返りの機会を設けることが大切です。 メンター同士で情報交換会を実施したり、人事部がメンター・メンティ双方と面談したりすることで、課題を早期に発見し、改善に繋げることができます。
成功のポイント | 具体的なアクション |
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全社的な理解と協力 | 制度の目的・重要性を経営層から発信し、全社に周知する |
適切なマッチング | 事前面談やアンケートを通じて、相性を考慮した組み合わせを決定する |
定期的なフォローアップ | メンター同士の情報交換会や、人事部との定期面談を実施する |
研修の導入は専門家にお任せを!
今回は、メンター制度やメンター研修について解説しました。多くの企業で導入されるメンター研修ですが、企業によっては導入していなかったり部署が多くないことからメンタリングができなかったりすることがあるかもしれません。しかし、企業・組織にあった制度を考えて導入することで、離職率低下や採用力強化にもつながります。
ガイアシステムは、メンター研修をはじめとした多くの研修実績がございます。研修の準備からアフターフォローまで丁寧にサポートしますので、初めて制度を導入する企業様、カリキュラムを一新したいという企業様まで、幅広く対応可能です。
「何から始めたら良いかわからない」という時には、ぜひガイアシステムにご相談ください。
