効果的な法務研修とは?内容・対象者・プログラム例などを解説!

法務研修

法務研修は、企業が行う社内研修の中でも「法務部門」が行うものです。近年は、企業をはじめとした組織的なコンプライアンス違反が目立つため、「コンプライアンス研修」を企画・実施する施設が増えつつありますが、他にも「リスクマネジメント」や「ハラスメント」、「個人情報保護」、契約に関しての基礎知識を身につける研修など、様々な研修があります。

 

法務研修に期待される役割や対象者、研修で扱う法律など幅広く解説します。
自社で法務研修を検討されている方、ブラッシュアップしたいとお考えの方など、ぜひ最後までご覧ください。

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法務研修とは

法務研修

まずは、法務研修とは何か、なぜ必要なのかを解説します。

法務部は、法令遵守の要であり、法令違反などを未然に防ぐ役割があります。法務の業務は大きく「戦略法務」「予防法務」「臨床法務」の3つに分けられます。法的な視点から戦略的に事業を支え、法的な紛争を防ぎ、トラブル発生時には的確に対応をすることを期待されています。

法務研修目的は、法令に関する知識の向上を図ることで、企業の成長を阻害する可能性のある法令違反などを防止し、事業の発展に法的な視点で戦略的に貢献できるようになるためです。

法務研修はなぜ必要?

昨今、SNSの発展や個人情報管理の問題など、企業コンプライアンスに違反してしまう事件が後を断ちません。こういったコンプライアンス違反は、企業や組織の社会的信用や利益を失うことになるだけでなく、最悪の場合には企業や組織そのものが無くなってしまうことにつながります。そのため、経営層、管理職、従業員に法令や社会的な倫理などを正しく理解してもらい、業務や日常生活に活かしてもらえるような研修として「法務研修」が必要なのです。

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法務研修に期待される効果や役割

では、法務研修を行うことで期待できる効果や研修そのものの役割には、どういったものがあるのでしょうか。今回は5つのポイントを解説します。

法務上のトラブル発生時の対応を学ぶ

日々の業務を行う中で、顧客からのクレーム対策や個人情報をはじめとした情報管理に関するトラブルに直面することは多々あります。特に、法務上のトラブルは企業や組織の活動において避けられないため、研修を通じてしっかりと学ぶことが必要です。また、トラブルが発生した際の初期対応がうまくいくかどうかは、トラブルそのものがうまく解決できるかどうかに大きく影響します。さらに、担当者が隠蔽してしまったり、通常では考えられないような言動によって事態が悪化してしまうことも珍しくありません。

こういった事態を防ぎ、冷静に対応できるようになることも、法務研修に期待できることです。

コンプライアンス違反を防ぐ

コンプライアンスは、「法令遵守」という意味です。しかし、近年では企業や組織が社会から期待される役割や、企業倫理に沿った経営や運営を行うことも意味に含まれています。特に、世間的によく知られる企業や組織ほど「良い企業かどうか」を評価する指標となります。そのため、コンプライアンスに関する研修を行うことで、経営者、管理職、従業員など立場に関わらず、コンプライアンスについての当事者意識や望ましい企業風土を育てることが重要です。

社内のルールや職場環境を守ることにつながる

法務研修は、法令やコンプライアンスに関することだけでなく就業規則や規定に関することも学びます。社内ルールや規則・規定が守られない環境にあると、それが結果として法律違反になってしまうことがあり、最悪の場合には企業や組織として訴えられてしまうことになりかねません。特に、ハラスメントについては命に関わる可能性も考えられるため、法務研修を通じて風通しの良い職場環境を作っていくことが求められます。

規律違反や責任感のある顧客対応ができるようになる

法務研修は、顧客に対して事実を正確に伝える、自社のルール違反(サービスを過剰に行うなど)を未然に防ぐ、従業員一人ひとりの規律意識や責任感を養うといった、顧客対応において誠実な対応を行うことにもつながります。

結果として、顧客満足度を向上させることや企業の利益拡大にもつながるでしょう。

企業や組織のイメージ向上が期待できる

法務研修を充実させ、従業員一人ひとりがコンプライアンスや規律などを遵守する意識がしっかりと育てば、それが業務効率や品質向上につながります。さらに、取引先や顧客などからの印象が大きく変わることが期待できます。このご時世、コンプライアンスをしっかり守れている企業は「当たり前」でありながらも実際に遵守できている企業はあまり多くないのが現状です。そのため、法務研修の企画や内容を深いところまで業務につながるように検討・実施することで、企業のイメージ向上が期待できます。

法務研修の対象となる従業員

法務研修の対象者は、法律を扱う部門の従業員と思われがちです。しかし、実際には様々な従業員がコンプライアンスに関することが必要です。ここからは、法務研修の対象者となる従業員について解説します。

法務・総務部

法務研修は、日常的に法令を扱う法務や総務に関わる従業員は学ぶ必要があります。法令については、毎年何かしらの改正が行われていたり最新のものを理解しておくため、判例やケーススタディによる研修が有効です。また、就業規則などの社内ルールやコンプライアンス、ハラスメント対策についても、従業員に教えたりアドバイスしたりする立場になるため、迅速に対応できるような準備をしておきましょう。

営業部

営業部門については、取引先や顧客とのやり取りにおいて誠実な対応が取れること、社内ルールに沿った言動を行わなければなりません。また、契約書や実務についても法律が関わることが多いため、業務で起こりうることに関してケーススタディを行い、実践的に知識とスキルを身につけると良いでしょう。

新入社員

新入社員は、社内研修を通じて社会人としてのルールをはじめとした様々なものを学びます。新入社員に対する法務研修の目的は、コンプライアンス違反や就業規則などを学び、SNSにおける発信や個人情報管理、業務上の言動が企業や組織に与える影響を理解することにあります。時間をかけて確実に守ることができるよう、知識を増やすだけでなくケーススタディを積極的に取り入れましょう。

管理職・マネージャー職

管理職やマネージャーの立場にある人は、実務に関する法律や経営に関する法律が必要になるなど、幅広い知識を身につけなければなりません。また、就業規則やハラスメントのことなど、社内で必要なことについても理解しておくことで、チームのマネジメント力も高まります。さらに、チームの従業員がコンプライアンス違反をしてしまった時に最善かつ冷静な対処が行えるよう、ケーススタディを中心に研修を行いましょう。

法務研修で扱う法律について

法務研修で学ぶ法律は、業種や職種によって多岐にわたります。しかし、どの従業員でも共通して学んでおくべき法律がありますので、今回はそこを中心に解説します。

基本的な法律(民法・商法など)

まずは、基本的な法律として「民法」や「商法」があります。企業や組織では、商品売買やサービスなどにおいて契約が発生します。その際、契約に関する法律を理解しておかなければ、正しく契約ができなくなってしまうため、民法や商法を学んでおくことが必要です。

民法や商法の中には、契約書の定義や契約の成立要件などが項目として挙げられています。こうした法律に関する条文や事例を取り扱うことで、円滑に営業を進めることができます。特に、契約先との取引を交わすことが多い営業関連の従業員は、研修を通じて民法や商法などの基本的な法律をカリキュラムに盛り込み、学ぶようにしましょう。

個人情報保護法

企業や組織の多くでは、個人情報を扱うことがあります。また、個人情報については企業や組織だけでなく個人的な活動(SNSなど)においても思いがけず発信してしまうことケースがあるため、扱いには気をつけなければなりません。

特に、お客情報の漏洩や紛失は行政処分だけでなく自社や組織としての社会的な信用を失ってしまうことにつながります。社外へ持ち出すことの危険性やネットワーク上の扱いなどについては、個人情報保護法の理解だけでなく社内ルールを理解・徹底することで管理に対する意識を高めましょう。なお、法務研修では、個人情報保護法などの知識だけでなく具体的な情報管理の方法やルールも丁寧に伝えるようにしましょう。

独占禁止法

独占禁止法は、「私的独占」の禁止や不当な取引制限の禁止、事業者団体の規制、不公正な取引方法の禁止をはじめとして、公正かつ自由な競争を促進することを目的とした法律です。入札や価格決定に関わる従業員は、確実に身につけておきたいものです。

不正競争防止法

不正競争防止法は、「営業秘密の漏洩を禁止」することをはじめとした事業者間の公正な競争を促す法律です。営業に関する秘密の漏洩は、企業の経営に関わる重大なリスクです。そのため、従業員の情報漏洩を防ぐための法律として学んでおく必要があるだけでなく、実際のケーススタディを含めたカリキュラムを組みましょう。

金融商品取引法(インサイダー取引規制)

インサイダー取引とは、上場会社の関係者や内部情報を知りうる立場にあるものが知っている内部情報を利用して、自社の株式などを売買することです。インサイダー取引によって、不正な利益を獲得することができる可能性があるため、金融商品取引法によって禁止されています。インサイダー取引は企業が信用を失うきっかけになるだけでなく、行った人は懲役や罰金の対象となるため、確実に避けられるよう定期的に研修を行うことが重要です。

著作権法

法務研修では、著作権法に関する知識を得ておくことも大切です。カリキュラムとしては、他人の著作物の無断使用をはじめとした、著作権侵害となる行為にはどのようなものがあるのかを理解できる内容を用意することが必要です。また、商品企画や営業、広報など著作物を扱う可能性がある部門については、受講は必須としても良いでしょう。

景品表示法

景品表示法は、消費者が自主的・合理的に商品やサービスの選択ができるように、意思決定をサポートすることを目的とする法律です。商品やサービスを、実際よりもよく見せかけたり不当な表示などをすることは禁止されているため、どういった表現が不当として扱われるのか、金額や懸賞の対象などについて、どのようなケースがNGなのかを判断できるようになるために、この法律はしっかりと学んでおきましょう。

法務研修のプログラム例

最後に、法務研修を企画・実施するにあたってよく行われるプログラムの一例を解説します。自社や組織の研修を行ったりカリキュラムを新しくするための参考にしてみてはいかがでしょうか。

ビジネス法務

ビジネス法務は、営業部門に属する従業員をメインとして行われる研修ですが、社会人として身につけておきたい基本的な内容です。業務における規律や社内外のルールなどを守ること、責任感を養うことにもつながるため、できるだけ多くの従業員を対象に実施しましょう。

ハラスメント関連研修

この研修では、「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」など職場にて起こりうるハラスメントの知識や対策、起こさないためにはどうすればいいかを学びましょう。特に、管理職やマネージャー、経営層においては自分の経験などから起こる何気ない言動がハラスメントになり、企業や組織に大きな悪影響を及ぼすことになります。ケーススタディや実践的な研修内容にすることで、日々の業務に活かせるようにすることが重要です。

リスクマネジメント関連研修

日々の業務においては、様々なリスクが考えられます。特に、法律が関わるようなことが起こると一つひとつの対処が大切になるため、必要な法律をしっかりと身につけた上で冷静に対処できるようにしましょう。

コンプライアンス研修

コンプライアンス研修は、近年、企業や組織において重要視されているコンプライアンス遵守に関する言動についての研修です。SNSの扱いに関する注意点や実際のケースや違反をしてしまった時の対処法を学びつつも、「違反しない」という意識を高めるカリキュラムを組むことで、企業や組織全体としての風土づくりも意識しましょう。

組織として法律に強いチームになろう

今回は、法務研修について、内容や対象者、期待できることなどを解説しました。法務研修は、単純に法律に強くなるために行うわけではありません。コンプライアンスについての知識やハラスメントを防ぐ意識を高めることで、誰もが働きやすい、風通しの良い職場づくりにつながっていきます。

これまでの法務研修の内容が変わっていないとお悩みの方、これから法務研修を検討している方は、この記事を参考に内容を考えてみてはいかがでしょうか。

なお、最初から内製化すると時間やコストが大きくなってしまいます。また、成功率やアフターフォローに関する対応等も必要になりますので、研修のプロに依頼することをオススメします。弊社では、研修に関する経験豊富なコンサルタントが、事前準備からアフターフォローまでを丁寧にサポートさせていただきます。どんなことでも、お気軽にご相談ください

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